ベジタリアンって、たまごや牛乳も食べるの?
ベジタリアンとヴィーガンって何が違うの?
そんな疑問に、ベジタリアン&ヴィーガン専門店を10年以上営んできたsimmeが解説します。
ベジタリアンは、人によってOKな食材が違う
「ベジタリアン」にはいろいろな人がいます。
- 健康を意識してベジタリアンになった人
- 肉や魚が体質に合わなくてベジタリアンになった人
- 宗教的理由からベジタリアンになった人
- 環境問題を知ってベジタリアンになった人
- 動物愛護の精神でベジタリアンになった人
- 家庭環境などの影響でベジタリアンになった人
など、ベジタリアンになる理由はさまざまです。
そして、ベジタリアンの中には、肉は食べないけどそれ以外はOKな人もいれば、たまごだけはOK、牛乳だけはOKな人などがいます。
また、肉も魚もたまごも牛乳もNGという人も。
ベジタリアンと言っても、食べられる食材、対応できる食材は
人によって様々なんです。
あなたがもし「私ベジタリアンなんです」という人に出会った時(外国の方には多いですよね)、
その人が何がOKで何がNGなのか
を正しく理解するためにも、この記事はお役に立てると思います。
相手の食文化・志向などを尊重してあげたいですよね。
ぜひ参考にしてください!
「ベジタリアン」一覧|食べられる食材によって呼び方が異なる
「ベジタリアン」は基本的には肉類を食べませんが、肉・魚・たまご・乳製品・ハチミツのどれがOKかNGかによって、以下のように呼ばれます。
肉 | 魚 | たまご | 乳製品 | ハチミツ | ||
---|---|---|---|---|---|---|
セミ ベジタリアン(フレキシタリアン) | △ | △ | ◯ | ◯ | ◯ | 肉類・魚介類を食べることが少ないが、柔軟な人 |
チキン (ポーヨー)ベジタリアン | △ | △ | ◯ | ◯ | ◯ | 鶏肉OKな人。魚介類も食べることはある |
ぺスコ ベジタリアン(ペスクタリアン) | × | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | 魚介類OKな人 |
ラクト オボ ベジタリアン | × | × | ◯ | ◯ | ◯ | 乳製品&たまごOKなベジタリアン |
オボ ベジタリアン | × | × | ◯ | × | ◯ | たまごOKなベジタリアン |
ラクト ベジタリアン | × | × | × | ◯ | ◯ | 乳製品OKなベジタリアン |
ヴィーガン | × | × | × | × | × | 動物性食材はすべてNG。食だけでなく、衣・住でもNG |
ダイエタリー ヴィーガン | × | × | × | × | × | 動物性食材を食べない。衣類(皮製品)などは比較的OK |
オリエンタル ヴィーガン | × | × | × | × | × | 東洋思想に基づいて、五葷(ごくん)を避けるヴィーガン |
ロー ヴィーガン | × | × | × | × | × | 生の野菜やフルーツを中心に食べるヴィーガン |
マクロビアン | △ | △ | △ | △ | △ | マクロビオティックの考えに基づいて陰陽のバランスを重視 |
フルタリアン | × | × | × | × | × | 新鮮なフルーツやナッツを中心に食べる |
その他 |
ひとつずつご紹介します。
セミ ベジタリアン(フレキシタリアン)
肉 | 魚 | たまご | 乳製品 | ハチミツ |
△ | △ | ◯ | ◯ | ◯ |
「肉・魚を食べることもある」人たちです。
セミ ベジタリアン(英語:Semi-Vegetarian)やフレキシタリアン(造語:Flexible + Vegetarian)は、植物性中心の食生活をしていますが、臨機応変に肉や魚介類を食べることもある人たち。
状況や体調などに応じて、「肉や魚介類もいただきます」という柔軟さがあります。
日本では、肉や魚を一切食べない生活を続けるのは難しいので、野菜中心の食生活を送っている日本人に多い印象です。
「ベジタリアンと言うほどでもないけど…」という人や、「ゆるベジ」に近いイメージですね。
フレキシタリアンだと無理なく続けられそうです。
チキン(ポーヨー)ベジタリアン
肉 | 魚 | たまご | 乳製品 | ハチミツ |
鶏肉は◯ | △ | ◯ | ◯ | ◯ |
「鶏肉OK」な人たちです。
チキンベジタリアン または ポーヨーベジタリアン(英語:pollo vegetarian)は、植物性中心の食生活で鶏肉はOKですが、それ以外の肉類(豚・牛・羊・馬など)は食べない人たちです。
魚介類は食べることがあります。
食べられるものの選択肢は比較的多い印象です。
ぺスコ ベジタリアン(ペスクタリアン)
肉 | 魚 | たまご | 乳製品 | ハチミツ |
× | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
「魚介類OK」な人たちです。
ペスコベジタリアン または ペスカタリアン(英語:Pescatarian)は、肉類は一切食べませんが、植物性中心の食生活で魚介類もOKな人たちです。
肉類は、豚・牛・鶏・馬・鹿・ウサギなど、全てがNGです。
肉類以外はOKです。
魚介類がOKなので、カツオだしなどもOKですし、和食は比較的食べられるものがある印象です。
ラクト オボ ベジタリアン
肉 | 魚 | たまご | 乳製品 | ハチミツ |
× | × | ◯ | ◯ | ◯ |
「たまご・乳製品OK」なベジタリアンです。
ラクトオボベジタリアン(英語:Lact-Ovo-Vegetarian)は、肉類と魚介類を食べませんが、植物性中心の食生活で、たまごと乳製品も食べます。
肉類と魚介類が入っていなければたまご料理もOKだし、乳製品(ミルクのほか、チーズやバター)を使った料理もOK。
デザートやドリンクは、比較的自由に食べられる印象です。
(動物由来のゼラチンが入ったデザートなど、NGなものもあります)
欧米では、最も多いベジタリアンだと言われています。
オボ ベジタリアン
肉 | 魚 | たまご | 乳製品 | ハチミツ |
× | × | ◯ | × | ◯ |
「たまごOK」なベジタリアンです。
オボベジタリアン(英語:Ovo-Vegetarian)は、肉類・魚介類・乳製品を食べませんが、植物性中心の食生活でたまごは食べます。
肉・魚・乳製品を使っていないたまご料理がOKです。
乳製品を使っていない焼き菓子(クッキーなど)も食べられます。
ラクト ベジタリアン
肉 | 魚 | たまご | 乳製品 | ハチミツ |
× | × | × | ◯ | ◯ |
「乳製品OK」なベジタリアンです。
ラクトベジタリアン(英語:Lact-Vegetarian)は、肉類・魚介類・たまごを食べませんが、植物性中心の食生活で乳製品も食べます。
乳製品がOKなので、チーズやバターが食べられます。
ドリンクは、カフェラテなど比較的自由に選べる印象です。
日本でヴィーガン&ベジタリアンのお店をしていた頃、外国のお客様ではラクトベジタリアンの割合が一番多かったような印象です。
ヴィーガン
肉 | 魚 | たまご | 乳製品 | ハチミツ |
× | × | × | × | × |
「衣食住すべてにおいて、動物性のものを避ける」ベジタリアンです。
ヴィーガン(英語:Vegan)は、植物性のみの食生活で、すべての動物性食材(肉類・魚介類・たまご・乳製品・ハチミツ)を一切食べません。
食だけでなく、衣類や住生活においても、動物性製品(革製品や毛皮など)の使用を避けます。
日本の精進料理は、動物性由来の食材を使わないので、ヴィーガンの人も食べられます。
ヴィーガンになると、現代の日本(特に郊外や地方)では、食の選択肢がかなり限られてきます。
一見大丈夫そうに見える料理も、だしを魚介類でとっていたりすると食べられません。
ヴィーガン対応のお店か、自炊でおもてなしするのが最善です。
ダイエタリー ヴィーガン
肉 | 魚 | たまご | 乳製品 | ハチミツ |
× | × | × | × | × |
「動物性由来のものを食べない」ベジタリアンです。
ダイエタリーヴィーガン(英語:Dietaly Vegan)は、植物性のみの食生活で、すべての動物性食材(肉類・魚介類・たまご・乳製品・ハチミツ)を一切食べません。
ただ衣類や住生活においては、動物性のもの(皮製品など)は比較的OKです。
食生活においてはヴィーガンと同じですが、日用品などの買い物は比較的自由です。
オリエンタル ヴィーガン
肉 | 魚 | たまご | 乳製品 | ハチミツ |
× | × | × | × | × |
「動物性食材と五葷(ごくん)を食べない」ベジタリアンです。
オリエンタルヴィーガン(英語:Oriental Vegan)は、植物性のみの食生活で、すべての動物性食材(肉類・魚介類・たまご・乳製品・ハチミツ)を一切食べません。
さらに、仏教で禁じられている五葷(ごくん)「長ネギ・玉ネギ・ニンニク・ラッキョウ・ニラ」の5つも避けます。
これらの食材は、刺激や匂いが強いため気を乱し、修行などの妨げになるとされています。
ヴィーガン料理のお店をしていた頃、「五葷(ごくん)抜きでお願いします」というご要望は、実際に年に何度かありました。
台湾からのお客さまが多かった印象です。
旨みを出すために玉ねぎやニンニクを使用することも多いので、飲食店での五葷(ごくん)抜きには、事前に確認が必要です。
ロー ヴィーガン
「動物性食材を一切食べず、生の野菜やフルーツを中心に食べる」ベジタリアンです。
肉 | 魚 | たまご | 乳製品 | ハチミツ |
× | × | × | × | × |
ローヴィーガン(英語:Raw vegan)は、植物性のみの食生活で、すべての動物性食材(肉類・魚介類・たまご・乳製品・ハチミツ)を一切食べません。
また、野菜なども高温で加熱されたものではなく、生の野菜やフルーツ、ナッツ、一定の温度以下で調理された酵素豊富なものを中心に食べます。
「ローフード」と「ヴィーガン」が組み合わさっています。
人体が元気でイキイキしているためには、酵素が必須。
しかし酵素は、高温になると壊れはじめてしまいます。
「ローフード」では、酵素が豊富な状態で植物をいただくことで、人体に良い影響があると考えられています。
マクロビアン
肉 | 魚 | たまご | 乳製品 | ハチミツ |
△ | △ | △ | △ | △ |
「マクロビオティックの考えに基づいて、陰陽のバランスを重視する」人たちです。
マクロビアン(英語:Macrobiotic)は、マクロビオティックの考えに基づいた食生活をする人たちです。
マクロビオティック(通称:マクロビ)では、全ての食材にも陰陽のエネルギーがあるとされており、体調や季節などに応じて、陰陽のバランスを重視します。
玄米菜食を推奨しており、基本的には動物性食材を使用しないのですが、必要に応じて口にすることもあります。
マクロビアンと他のベジタリアンは、菜食中心という点では共通していますが、陰陽のバランスという考え方はマクロビアン特有です。
フルタリアン
肉 | 魚 | たまご | 乳製品 | ハチミツ |
× | × | × | × | × |
「新鮮なフルーツやナッツを中心に食べる」人たちです。
フルータリアン(英語:fruitarian)は、新鮮なフルーツやナッツ類を中心とした食生活をする果実主義者。
動物性食材を一切口にしないのはヴィーガンなどと同じですが、植物を傷つけたり植物の命を奪うことを避けるために、植物を生かしたまま果実部分のみをいただくという考え方に基づいています。
茎や根など、植物の命を奪うと感じる部分は収穫しません。
全ての食事ではなく、自分に合ったペースで1食をフルータリアンに置き換える人もいます。